2014年6月12日木曜日

断片、夜の女王

 彼女は夜の中心だった。星も、月も、そしていまは見えない太陽も、すべて彼女を中心として回っている。夜の女王だ。夜の女王は無表情の仮面を外そうとしない。彼女はゆっくりと階段を三つ登って振り返った。私を見下して、白い吐息を零しながら、それでも穏やかに私に語りかけてくる。声が聴きたいのではないの、仮面を外したその素顔をみたいのよ、と女王の従者は心のうちで叫んだ。

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